黒川 李奈 早稲田大学先進理工学部のキャンパスライフの詳細ページです。

共同先進健康科学専攻 博士後期課程3年

黒川 李奈

KUROKAWA Rina

国際的に通用する研究力を伸ばせるカリキュラムが魅力

Q

博士課程進学のきっかけを教えてください。

有機化学で修士号を取得後、就職した先で扱っていたテーマが「腸内細菌叢のメタゲノム解析」でした。細菌の性質を個別・精密に調べるのではなく、多種多様な細菌の集団をひとつの生命システムと捉えて丸ごとゲノム解析し、得られる大量の情報を整理してマッピングしていくという研究です。携わっているうちに、自分が主体となって研究をデザインし、進められるようになりたいと考えるようになり、社会人を継続しながら博士課程へ進学することを決めました。進学先として、この研究分野で著名な服部正平先生が研究室を立ち上げられていたこともあり、共同先進健康科学専攻を選びました。

Q

実際に進学してみて、いかがでしょうか。

人数は多くはありませんが、多様な分野から、社会人経験者も多く集まっている専攻のため、学生の挑戦を応援してくれる土壌があるように感じます。博士課程だけで20単位を修得する必要があり、英語で行われる科目も多く大変なこともありますが、たとえば「実践生物統計学」など、研究力の向上に役立つ科目が多いので、履修のモチベーションは高いですね。一方的な講義形式だけではなく、バイオベンチャーを訪問したり英語で論文レビューしたりする「生命分子工学特論」など、対話する機会も多くあり、鍛えられています。共同専攻を組織している東京農工大学の講義も履修できるので、学修環境はとても充実しています。

ヒトの皮膚に存在する細菌叢のメタゲノム解析に挑戦

Q

現在は、どのような研究に取り組んでいますか。

ヒトの皮膚細菌叢のメタゲノム解析に挑戦しています。皮膚上に棲む細菌の集団がどのような機能を持っているのか、ヒトとどのような共生関係にあるのかを知りたいと思っています。腸内細菌叢や口腔内細菌叢とは異なり、皮膚細菌叢は集団に属する細菌の種類については分かってきたものの、機能についての研究はあまり進んでいません。そのため、まずは、機能解析に十分な量のDNAを取得する採取方法の開発から取り組んでいます。菌叢DNAが豊富に採取できれば、メタゲノム解析が可能になり、ごく一部の細菌や真菌のみならず、ウィルス等あらゆる皮膚上に暮らすものを一気に見ることができ、皮膚の上のヒトと微生物全体の生態系を明らかにできると考えています。

Q

海外での研究発表も経験されたそうですね。

2019年7月に アメリカのコールド・スプリング・ハーバー研究所で開催されたMicrobiomeという国際学会に参加しました。実践英語教育科目である「Advanced Technical Presentation」では、自分の研究に関して模擬ポスターを作成して学生間でお互いに発表・質疑応答するという演習もありましたので、自信をもってプレゼンテーションに臨めました。早稲田大学には大学院生が海外で研究発表する際の経費的な補助もあるので、とても助かっています。

Q

将来のキャリアについてはどのように考えていますか。

細菌叢の機能解析に関わる研究を続けたいと考えています。指導教員の服部先生ご自身が、高分子化学からヒトゲノム解析、そして腸内細菌叢のメタゲノム解析へとテーマを広げてこられた方なので、「次に何が来るか、常に考える」という姿勢を大事にしています。私もそれを胸に刻みながら、新しいことに挑戦し、新しい発見をして社会に貢献していければと考えています。

聞き手・構成
武末出美(早稲田大学アカデミックソリューション)

※所属と学年はインタビュー当時のものです。

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