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染色体分配に重要な張力センサーの仕組みを発見

SET/TAF1がん遺伝子による急性骨髄性白血病の原因を解明
早稲田大学理工学術院の浅井裕一郎助手と寺田泰比古教授(化学・生命化学科)の研究グループは、筑波大学の永田恭介教授らと共同で、急性骨髄性白血病(AML)の原因として発見されたがん遺伝子・SET/TAF1(以下、SET)が、細胞の増殖においてAurora Bキナーゼ(リン酸化酵素)やPP2A(脱リン酸化酵素)とともに第3の張力センサーとして染色体分配を正確に制御していることを解明しました。この仕組みが働くことによって、私たちの遺伝情報が正確に子供達へ受け継がれます。さらに、がん遺伝子産物であるSETタンパク質の異常が、染色体の中心領域であるセントロメア(※1)の張力センサーシステムを破壊することで、染色体の分配制御を撹乱させ染色体異常を誘導しがん化の原因になることを、分子生物学的手法を用いて明らかにしました。この研究成果は、急性骨髄性白血病等のがんの治療に貢献し、抗がん剤の創薬研究において重要な基盤情報となると考えられます。
本研究成果は、細胞生物学の専門誌『The Journal of Cell Biology』(ロックフェラー大学出版)のオンライン速報版に2019年9月16日に掲載されました。

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